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読書メモ♪「三十の反撃」 [本]

8月に読みました「アーモンド」の作者、
Sohn Won-Pyungさんの第2弾。

本屋さんで平積みされているのを見て気になり、
順番はまだまだ回ってこないだろうと思いつつ図書館で予約しましたところ
思いのほか早く順番がきました。

「三十の反撃」(Sohn Won-Pyungさん:翻訳 矢島暁子さん)

CIMG1420.JPG

令和3年8月20日初版の本ですので
図書館でお借りした本と思えないくらい傷みもなくまだピッカピカ(^^)

よくぞこんなに早くお借りできたものだとありがたい限りです。

余談ですが、今年の本屋大賞受賞作は、
予約の順番が1200番ちょっと・・となっていて(^^;
いつになるか分かりませんので、買おうかなと思いつつあります。
ちなみに、その作家さんの次の作品も平積みされていて、それもまたよさそうで、
そちらも気になっています。
でも、ハードカバーは家での収納も場所取るんですよねぇ・・・。


さて、「三十の反撃」。

感想を一言で申しますと、
「すばらしかったです」

いや~、すばらしい作品でした。

8月に読みました「アーモンド」もよかったですが、
個人的にはこちらのほうが好きです。

帯の紹介文はこんな感じで、
これであらすじがだいたい分かるかと。

「~世の中という大きな壁と闘うすべての人に贈る、心温まるエール~

 1988年ソウルオリンピックの年に生まれ、三十歳になったキム・ジヘ。
 88年生まれにいちばん多い名前「ジヘ」と名付けられた彼女はその名前のとおり
 平凡を絵に描いたような大人になっていく。
 大企業の正社員を目指すジヘの前に現れたのは、同い年の同僚ギュオク。
 彼の提案する社会への小さな反撃を始めることになったジヘは
 自身を見つめなおし、本当にしたかったことを考えるように。
 そして、ついに『本当の自分』としての一歩を踏み出すことになる。」


とにかく、
読んでいて、共感できる部分がすごく多かったです。


私が特に印象に残ったのは、

①息苦しい職場から逃避するために(特にお昼休み)架空の友人を作り上げ、
 お昼はその友人と約束があるので・・と、外でランチする場面。

②大学時代からの友人たちとの関係で、
 結婚、出産した人と、だんだん人生のペースやレベルが合わなくなり、
 疎遠になってしまったことを考えている場面の本文からの引用。

 「(結婚して子どもがいる友人から)『ジヘは時間があっていいな。
  自分のことだけを考える時間』(と言われ、心の中で)
  いいなという言葉は、むやみに使うものではない。
  あんたは子どももいて、家もあって、お金を稼いでくれる夫もいるじゃない。
  自分のことだけを考える時間がどれだけつらいか、寂しくて怖いか知っているの?
  とは言えない。
  言ったところで意味がないから。
  友達と少しずつ話が合わなくなって、
  それがだんだん離れていき、
  ついには互いに交わることのない平行線を走るようになる。」

③これも本文からの引用ですが、
 「すべからく人は適当に仕事をするべきだ。
  正確には言えば、分相応に。与えられた時間と給料に見合った分だけ。
  だから、最低賃金をかろうじて超える非正規の私たちにとって仕事というのは、
  小細工と機転、それに要領の3要素のバランスが取れた
  最小限の労働でなければならない。
  そうすればいたずらに利用されたり、当たり前のように搾取されることもなく、
  適当にやることだけやって抜け出すことができる。
  ずっとできなかったことを急にうまくやれば褒められるが、
  ずっとうまくやっていたことを一度失敗すると、
  それまでのことが台無しになるだけでなく、辛辣に悪口を言われてしまう。
  線を越えないぎりぎりのレベルで仕事をし、
  できることもときどきできないふりをして避け、
  面倒でもたまに小言を言われる状況を作り、
  上司をいい気分にさせることも忘れてはならない。
  あなたに対する最終的な評価は
  『どうにか人並にはやっている。
   たまにそそっかしいこともあるが、伸びる可能性がある』くらいで十分だ。
  それが自分を守りながら働き続ける方法だ。
  よほど大きなやりがいや報酬があったり、自己実現のできる仕事なら別だが。
  そう考える私は、世間ずれしすぎた人間だろうか。
  あるいは夢のない人間なのだろうか。」

 でも、このジヘさんの名誉のために付け加えておきますと、
 非正規で働き、仕事内容もコピー取りなどの雑用がほとんどという中で、
 かなり古い年代モノのコピー機でいかに段取りよくコピーするか・・等を考えて
 そういうことに仕事の喜びを見出しているマジメな人なので、
 ③で引用したように考えてはいても、そのように行動しているわけではなく
 それがまた苦しいのだろうな・・と思います。

 私は正社員だから、それなりに役割を果たして仕事をしようと思っていますが、
 カンペキを目指さないほうがいいのでは・・と思ったりします。
 ↑ の引用じゃないですけど、
 デキの悪い人が、それまでできていなかったことをできるようになったら
 褒められますけど、
 いつもカンペキにやっていると、できなかったときにものすごく悪いことを
 したみたいに責められるように思います。
 やろうと思えばできるけど、ちょっとムリしないといけないなぁ・・というときには
 「できます」って言わずに、「今は難しい」ことを伝えるようにしたり、
 「アホなふり」をすることも大事かなって思ったりします。
 「たまには小言を言われる状況を作り、上司をいい気分にさせることも必要」というのも
 納得できます。
 
 なので、カンペキを目指さず、
 「この人も仕事が立て込んだら厳しいんやな」って思ってもらえるぐらいにしとくのがいい
 って思うんですけど、
 それもなかなか難しいんですよね・・。


そう、
「反撃」仲間でククスを食べる場面で、
主人公のジヘさんはメガネをかけているので、メガネが真っ白に曇ってしまったとき、
仲間の男性が
「僕もときどきメガネをかけるから分かるけど、本当にアラレちゃんみたいですね。
 『Dr.スランプ』に出てくる」
と話すのを読み、
「Dr.スランプ」って、韓国でも知られているマンガなのか~と。
日本のアニメは海外でも広く知られているんだなと実感した場面でした。


物語後半、
同僚と一緒に行った「社会への小さな反撃」が思わぬ結果となり、
ジヘさんはこのあとどうなってしまうんやろ・・、
マジメな人なのに、人生変わってしまうのかなぁ・・と心配しましたが、
やはり、マジメに生きてきた人には、拾う神様がいるんやなぁと
希望の持てるラストで、
読後感も悪くない作品でした。


わりとすぐに読めましたので
(それに、ちょうど、皮膚科での待ち時間があった時期だったので)
二度読みでき、
次の予約者がいらっしゃるということで貸出期間の延長はできませんが、
返却期日までにもう1回読もうと思います。


今回の翻訳も、
前回読みました「アーモンド」のときと同じ矢島暁子さんで
とても読みやすかったです。

Sohn Won-Pyungさんの作品、今後も楽しみに読みたいです。


<本日のトレーニング>

・ ジョグ 10キロ

 予報通り、ぐっと気温が下がりました。
 風邪ひかないように気をつけなくては・・と思います。

 早朝は雨が降っていましたが、
 9時頃にはやんでいましたので、走れました。

 この土日、雨の予報でどうかなぁ・・と思っていましたが
 夜の間に降ってくれた感じで、
 ランニングも洗濯物も影響なしで助かりました(^^)


2021-10-17 19:12  nice!(31) 

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