SSブログ

読書メモ♪「くもをさがす」 [本]

西加奈子さんの本は、これまで6冊ほど読んでいますが
読書メモで確認しますと、
直近に読んだのはもう2年前のことに・・。

今回の本は、西加奈子さん初のノンフィクションとのこと。

「くもをさがす」(西加奈子さん)

CIMG1993.JPG

この本は、本屋さんの新刊コーナーに平積みされているのを目にしていましたし、
新聞の広告欄でも拝見しましたが、
「小説」ではなく、西加奈子さんご自身の乳がんの(いわゆる)「闘病記」のようで・・。

西さんが、語学留学として、家族で2年間カナダに住んでおられたこと、
そしてそこで乳がんが見つかったことは
この本の新聞広告などで拝見し、初めて知りました。

これまで、西さんの作品は6冊読みましたが、
「西さんならではの作風」のようなものがあるなぁという印象、
ステキな作品だったという印象はありますが、
私自身、文章とかその作風とかが自分の好みにどストライク・・
というわけではないということと、
そして何より、私自身、乳がん治療中の身ですので
他の方の「闘病記」は、何だか複雑な気持ちになりそう・・・と思い、
避けておりました。

小学校からのお友達のMちゃんと、
最近よく「読んだ本」の感想を言い合ったり、情報交換する機会が増えて、
「くもをさがす」がすごくよかったとの感想をもらいました。

Mちゃんも、私が乳がん治療をしていることから
この本を私に薦めるのは悩んだみたいですが
Mちゃん自身がもやもやしていたことが、この本を読んで整理でき、スッキリした・・
とのこと。

Mちゃんのお薦めもあり、私も手に取ってみることに。


感想を一言で申しますと、
「・・・・・一言で言えません」


文章は、がんが見つかり、治療を進めていく過程を順を追って書かれていますが
その折々に、カナダと日本の文化・考え方の違いに関すること、
西さんの友人の病気の治療の話、家族の話、
西さんご自身の祖父母の話など
いろいろな方向に話が飛んでいる印象を受け、
1回目読んでいるときは、それがちょっと落ち着かない気がしてしまいましたが、
二度読みをしながら、
それはきっと、検査結果の確認、治療・・と進んでいく中で
西さんご自身が感じたり、思ったりした、そのときどきの心の動きなのだろうと。

「乳がん」と一口に言われますが
いくつかのタイプがありますし、
それは生検で採った検体を病理検査して確認し、
そのタイプによって、そして、がんのステージによって、
同じ「乳がん」患者でも、治療の内容も変わってきます。

私自身は、触診で「しこり」も確認できない段階で見つかったので
生検を兼ねた摘出手術(局所麻酔の日帰り手術)でがんを摘出。
その後の病理検査の結果、
摘出した範囲内にがんがおさまっていたので重ねての摘出手術は不要、
乳房温存手術なので放射線治療は行う、
検査結果で判明した乳がんのタイプから、術後の薬物療法は「ホルモン療法」になり、
抗がん剤の治療は受けませんでした。

そんなわけで、手術も軽く済み、
放射線治療は、一定期間毎日通わないといけなかったり
その間、いろいろ不便もありましたが
当時、(がん発覚後に当時の職場をクビになったため)無職だったので
職場に気兼ね等することなく治療に専念できましたし、
ホルモン療法は、最初の2年は4週間ごとのお腹への注射が痛かったり・・
もありましたが、
この本を読んでも、やはり抗がん剤治療のしんどさは本当に大変そうで、
自分はそこまでのしんどい思いを全然していないので
やっぱり、読んでいて複雑な気持ちというか、申し訳ないような気持ちになってしまいます・・。

本のタイトルの「くもをさがす」の「くも」は「蜘蛛」のことで、
西さんがカナダで住んでおられた家が蜘蛛の多い家で、
ある日、足にひどい虫刺されの斑点がたくさんあり(後で蜘蛛に刺されたと判明)
それがきっかけで【重い腰を上げて】病院に行くことにした・・と。

「腰が重かった」のは、
そのときにはすでに、右胸にしこりを見つけていて、
足を刺される前から、クリニックに行かなければ・・と思ってはいたものの
当時のバンクーバーのコロナの感染状況は最悪の状態で、
なかなかクリニックに行く気になれなかったとのことで。

クリニックに行ったあと、お母さまから電話があり
夢に祖母が出てきたという。
それらのことから、西さんは、
「おばあちゃんが蜘蛛になって出てきてくれて、クリニックに行くきっかけを
作ってくれた」んやと。

私はそのエピソードが書かれた箇所がすごく印象に残りました。
非科学的なことかもしれませんが
そういう「(まさに)虫の知らせ」みたいなもの、
「たまたまかもしれないけど、大事なきっかけになったこと」
といったことってあると思いますし、
そういうふうに考えることってステキだなって思いました。


他は、とにかく、カナダの医療事情にびっくり。
カナダの人は、自国の健康保険制度に誇りをもっておられ、
その制度じたいは確かにすばらしいと思いますが、
待ち時間とか、医療を受けられるまでの流れとかはやはり大変そう・・。
日本でも、大きな病院は紹介状が必要・・とかにはなっていますが
病院へのかかりやすさはやっぱりすごいことなんやな・・って思いました。

西さんは、両乳房全摘手術でしたが
その手術は「日帰り」とのことで、本当にびっくり。
(日本では、その手術の場合、ドレーンが取れるまでは入院のようです)

言葉にも不安がある異国で、
コロナ禍で医療体制が混乱している中、
どれだけ不安だっただろうか・・と、想像するだけでも胸が痛みます・・。

大阪人の西さんは、
カナダの友人、医療関係者の言葉も「大阪弁」に翻訳して掲載しておられ
外人さんの言葉が関西弁・・というのは新鮮で、
重い内容も重たすぎずに読めたのかな・・と。


あと、日本との違いとして描かれていたのが
病院、お店、会社などで何か不備があったとき、
実際にそれを対応した人以外は絶対に謝らないこと。

日本だったら、苦情の電話を受けた人が、
(その人が直接したことではなくても)まずは謝る・・という感じですが
カナダでは、自分が悪くないことは謝らないとのこと。

確かにそれもごもっとも・・ですけど
私はやっぱり、苦情を受けた人が「会社を代表してまずは謝る」というほうが
しっくりくるかなぁ・・と。
こっちだって、電話に出た人が悪いなんて思ってませんし。
でも、まずは謝ってもらうだけで、気が済む・・ということもありますし
その会社の印象も変わったりしますので・・。

でも、カナダの方は、
職場を離れたら、街で他者の居場所を守ることを「是」としていて、
老人に席を譲るのは当たり前だし、
ベビーカーには一番広い場所を譲るし、
子供たちが大声で騒いでいても寛容(だって子供はそういうものだから)・・と
そういう風潮が「当たり前」になっているという面もあり、
いろいろだなと考えさせられました。


そんなわけで、
初回読んだときは、「やっぱり複雑な気持ちになってしまった」感と
「話がいろいろ飛んでいて落ち着かない」感を感じましたけど
二度読みして、自分にも少し余裕をもって読むことができたのか
西さんの気持ちの変化、そして、自分自身も検査結果がすべて出るまでいろいろ不安に
思ったことも思い出したり、
描かれているエピソードが心に沁みたり・・。


あと、西さんのお友達の多さにもびっくり。
いや~すごい。
全編通して、不安なことなども書かれていますが
とにかく潔くてカッコいいです。
たくさんのお友達が登場するエピソードを通しても、
お人柄が分かるステキな1冊でした。

個人的には避けてた本だったので、
Mちゃんにこの本の話を聞かなければ手に取ることはなかったです。
ご縁に感謝。
Mちゃん、ありがとね。


<月曜日(=17日)のトレーニング>

・ ジョグ 11キロ


<火曜日(=18日)のトレーニング>

・ オフ


<水曜日(=19日)のトレーニング>

・ オフ


<木曜日(=20日)のトレーニング>

・ オフ


<金曜日(=21日)のトレーニング>

・ ジョグ 8キロ

  木曜も走ろうかと思いましたが、日が落ちてもねっとり暑いので
  ムリはやめました。
  金曜は、休日前なので少し気持ちにも余裕が。
  

<土曜日(=22日)のトレーニング>

・ ジョグ 11キロ

  暑いので、公園の日陰コースを往復。
  冬は風が強いことが多いですが、今の時期はそれほどでもなく・・。
  冬のあの風を、夏にとっておけたら、だいぶ涼しく走れそうですが(^^;

  午後は整骨院でメンテ、そのあとは歯医者で定期のお掃除


<本日のトレーニング>

・ ジョグ 11キロ

  暑い~~。
  
  緑道のほうに行こうかなと、昨日、自転車に空気も入れましたが
  起きたときから暑そうなので、
  やっぱり公園の日陰コースを。

  涼しい場所を求めて、球技場の横とかを通ってみたり。


2023-07-23 13:15  nice!(36) 

nice! 36

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]