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読書メモ♪「ジェイン・エア」 [本]

初めて読む本ではありませんが、
購入したのは(たぶん)高校生の頃、
大好きな本になり何度も何度も読みましたが、
直近で読んだのは20代の頃で、久しぶりに手に取りましたので
読書メモを残そうと思います。

「ジェイン・エア」(シャーロット・ブロンテ作)

CIMG1754.JPG


先ほども書きましたように、
高校時代に初めて読んで以来、大好きな本となり、何度も何度も読みましたが、
最近はなかなか読み返すこともなく・・でした。
(同じように、大学の頃から大好きな「赤毛のアン」シリーズは
 今でも時おり読み返すのですが・・)

今回、久しぶりに手にとりましたのは
9月に、宝塚大劇場に行きました際、このチラシを発見したのがきっかけです。

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「ジェーン・エア」??
え~!あの「ジェーン・エア」??
これは観たい~~!

・・・と思い、
舞台の日程は(大阪公演は)来年春でまだまだ先、
しかもチケットも取れるかどうか・・ですが、
何といってもだいぶ長いこと原作からも離れていますので
物語りの内容は、「なんとなく」「ざっくり」覚えているものの
細かいところはすっかり忘れていますから
久しぶりに読み返すことにした次第。

ちなみに、先に申しますと、

・・・・・・・(いろいろ手を尽くしましたが)チケットは取れませんでした(><)

いや~、厳しい~~。

恥ずかしながら、知りませんでしたが、
本ミュージカルの日本初演は2009年(松たか子さん主演)で
再演の呼び声が高い作品として話題になっていたとのこと。

その後、2012年に再演され、
今回、2023年に再演されることに。

今回の主演はWキャストで、上白石萌音さんと屋比久知奈さん。

私は主演のお二人を何が何でも観たい・・というわけではありませんが、
とにかく原作が大好きだし、
宝塚ご出身の春野寿美礼さん、仙名彩世さん、樹里咲穂さん、春風ひとみさん
が出られるということで、「観たい~」
と思ったわけですが、
いくつかの先行予約にチャレンジしたものの、ことごとくダメでした(><)

いや~、人気の演目なのですね~~。

それに、シアタードラマシティでこの日程ですから
人気なのに座席の絶対数が少なすぎるんだと思われます(><)

まぁでも、人気の演目ではあっても、
限られた上演時間で、これだけのボリュームの原作を描き切るのはムリでしょうから
きっと、「この箇所は入れてほしかった」などなど、
「原作ファン」ならではの不満を感じてしまいそうだし、
ミュージカルを観られないのは残念ですが、
今回、このすばらしい物語を読み返すきっかけを与えてもらって
感謝しています。


前置きが長くなりました・・。

この作品、
日本語訳は何冊も出ているようで、
上下巻に分かれているものも多いですが、
私の持っている本は1冊にまとめられたもの。

そのかわり、厚さが2.5センチほどあります。

30年以上前に購入したので、それだけの厚さの本ですが、480円(^^)
当時はまだ消費税もありませんでした(^^;

CIMG1755.JPG

それに、字が小さい(^^;
最近の文庫本はびっくりするくらい文字が大きくなりましたが
昔の文庫本なので、こっちはびっくりするくらい文字が小さいです。
1ページに20行あります(最近の文庫本は16行)。
その文字で635ページありますから、読み応えあり!です。


久しぶりに読みました感想を一言で申しますと
「やはりすばらしい。
 物語の構成、登場人物の言葉にも心打たれ、まさに名作だと思います」


一気に2度読みしましたが、本当にすばらしい。
やっぱりこの作品、好き~~。

翻訳モノにありがちな、ちょっと日本語が読み辛かったり、
長編にありがちな「このシーン、ここまで詳細いる?」という場面もありますが
そういうところ考慮してもすばらしい作品だと。


あらすじはこんな感じでしょうか(ネタバレ注意)

幼くして両親を亡くしたジェイン・エアは、伯父であるリード家に引き取られますが、
リード氏が亡くなってしまうと、その夫人や従兄弟たちに邪魔者扱いされ、
10歳にして、ローウッド寄宿学校へ行く決断をします。

ローウッドで、心を許せる友、ヘレン・バーズンや愛情豊かなテンプル先生に出会います。

ローウッド寄宿学校の環境は劣悪で、チフスが流行し、多くの生徒が命を落とします。
ジェインの友人のヘレンはチフスではなく肺病で命を落としました。
そのことをきっかけに世論が動き、学校の環境も見直され、
その後、ジェインはここで6年間を生徒として、その後2年間を教師として過ごします。
そして、テンプル先生の結婚・退職を機に自立することを決意、
新聞に広告を出して家庭教師先を見つけ、ソーンフィールド屋敷へ。

ソーンフィールドの主人はロチェスター氏。
各地を転々とし、屋敷にはあまりこないという人物で
家を預かる家政婦のフェアファックス夫人が迎えてくれます。

ジェインの教え子は、ロチェスター氏が後見をしているアデラ嬢。

その後、ロチェスター氏が屋敷に戻り、
ハンサムではなく、いかつくて、キツイ口調の男性でしたが
ジェインは彼に魅力を感じ、親子ほども年齢が離れていましたが、惹かれていきます。
一方、ロチェスター氏も貴族の婦人たちにはないジェインの魅力に惹かれていきます。

屋敷でのジェインの暮らしはうまくいっていましたが、
時おり、気味の悪い笑い声が聞こえてくることや、
その笑い声の主が、ロチェスターの部屋に放火して殺そうとしたことなどが起こり、
ジェインがロチェスターを救ったことをきっかけに二人は親密になっていき
ジェインはロチェスターからのプロポーズを受け、それを承諾して二人は結婚することに。
しかし、結婚式の場で驚くべき事実が判明します。

ロチェスターにはバーサという妻がいて、発狂したので館の一室に幽閉されており、
夜ごと聞こえた気味の悪い笑い声や放火は、彼女の仕業だったことが分かります。

ロチェスターは若い頃、父親と兄の策略で
財産目当てで金持ちの女性であるバーサと結婚させられましたが、
彼女が発狂した家系の女性であることは知らされていませんでした。
また、当時の英国の法律では、
夫婦のどちらかが精神疾患などを患っていて正常な判断が下せない場合は離婚できない
ことに・・。

その事実が発覚しても、
ジェインに、一緒に生きてほしいというロチェスターの言葉を振り切り
ジェインは身一つで屋敷を去りました。

力尽き、飢え死にしそうになったジェインを救ったのは
牧師のシン・ジンとその妹たちでした。

姉妹は優しく看病し、ジェインの体は回復、
「仕事をして、自力で生きていきたい」というジェインに、
シン・ジンは女学校の教師の職を紹介します。

ある日、シン・ジンを通して、ジェインに、
ジェインの父方の叔父ジョン・エアが亡くなり、
2万ポンドの遺産を彼女が相続することになったという手紙が届きました。

なぜ、シン・ジンにその連絡がきたのか疑問に思ったジェインは
シン・ジンを問い詰め、
シン・ジンと妹たちが、ジェーンの父方の従兄弟であることが判明。

ジェインは迷うことなく遺産を4等分にして、4人で分けることを提案。

財産もできたジェインは、3人の従兄弟たちと幸せな日々を送り始めます。

が、シン・ジンの夢は宣教師になることで、
インドへの伝導に行くにあたり、ジェインに、
妻として一緒に行ってほしいとプロポーズします。

ジェインは、従兄として彼を愛し尊敬していましたが、
彼が自分に結婚してほしいのは、彼女を女性として愛しているからではなく
宣教師の妻にふさわしいからという理由だけだと分かっていたので
申し出を拒否します。

そのとき、ジェインには、
ロチェスターが助けを求める声が聞こえた気がします。

ロチェスターに何があったか気になるジェインはソーンフィールドへ向かいます。
そこで、焼け落ちて廃墟となったソーンフィールド屋敷を目の当たりに。

近くの宿屋の主人から、
バーサの放火で屋敷は崩れ落ち、バーサはその火事で亡くなり、
ロチェスターは失明し左腕を失い、
今は森の奥深くの別荘に住んでいると聞かされます。

ロチェスター氏に会うため別荘を訪ねたジェインは、ロチェスターと共に生きることを決意。
ジェインが戻り、生きる希望を見出したロチェスターはジェインに結婚を申し込みます。

2人は結婚。
その後、ロチェスター氏は視力を少し取り戻し、自力で歩けるまでに回復。
長男も誕生し、幸せに暮らしていく・・・

という物語。


私が特に印象に残っているのは、

●ヘレン・バーンズ
 ローウッドでジェインの親友だったヘレン。
 身の回りの片づけができない等の理由から
 教師に厳しく指導され、
 今なら問題になりそうな「体罰」的な指導を繰り返されていたヘレン。
 それでも、子供とは思えない広く大きな心を持っていたヘレン。
 ヘレンの人柄はすばらしく、その言葉には本当に心を打たれました。

●リード家の行く末
 ジェインを虐待したリード婦人と従兄妹たち。
 個人的には、読んでいて、
 ジェインも確かに「かわいげのない子供」だったように思いましたが、
 ひどいなと思ったのは、
 遺産を残してくれるジェインの叔父さんから、
 「ジェインを養女にしたいから、居場所を教えてくれ」との連絡があったとき
 ジェインが幸せになることが許せず
 「あの子は、ローウッドでチフスが流行ったときに死んだ」と
 ウソをついたこと。
 リード婦人は死ぬ間際にジェインを呼び、そのことを打ち明けてくれますが、
 間に合わず、ジェインにそのことが伝わらなかったらどうなってたのよ??
 と思うと、腹が立ちました。

 リード家は、従兄のジョンが身を持ち崩して借金を重ね、
 リード婦人も晩年は苦労を重ねて最期を迎えますが、
 ジェインが屋敷にいたときの仕打ちといい、
 叔父さんからの連絡を握りつぶしていたことといい、
 やはり、「自分がしたことは、自分にかえってくる」んだなと
 読んでいてしみじみ思いました。

●ジェインまっすぐさ、潔さ
 ロチェスターさんとの(最初の)結婚が重婚だと知ったものの
 自分を深く愛してくれているロチェスターさんと一緒に生きていくことを
 望む気持ちもありましたが
 人として正しく生きる道を選ぶジェイン。
 その場面は、何度読んでも泣けてきます。

 自分ではあまり自覚はないかも・・ですが、向上心の強いジェイン。
 シン・ジンに紹介された、農村の貧しい女の子たちを教える学校の教師を引き受けますが
 少し経つと、自分はこのままでいいのだろうかと考えます。
 その気持ちもすごく分かる気がして、共感できる場面です。

 シン・ジンとその妹たちが、ジェインの従兄妹だった・・という構成は
 物語の展開のすごさに衝撃を受けましたが
 伯父さんの遺産の金額を聞いても驚かず、喜ばず、
 従兄妹がいたという事実に喜ぶジェインの清らかさ、
 遺産を4等分して4人で分けることを即座に決めるジェインのまっすぐさ、
 失明し、左手を失ったロチェスターさんと即座に結婚を決めたジェインの潔さ、
 何度読んでも感動します。

●ロチェスターさん
 ロチェスターさんも、本当に純粋にジェインを愛していることが
 読んでいて分かり、心打たれます。

 そう、この物語は
 ロチェスターさんも、ジェインも、「美男美女の設定ではない」というところも
 乙女チックすぎなくていいんじゃないかと思います。


巻末の「解説」によると、
「ジェイン・エア」が出版されたのは1847年。
この小説は、当時、男性の名前で発表されました。
(「嵐が丘」を出版した妹のエミリ・ブロンテも、男性名で発表していたとのこと)

この時代の英国は完全な男社会、女性が小説を書くことなどありえないことで、
男性名で発表したのは
「女が書いたものだと分かると、世間のものにまともに評価してもらえないことを恐れたため」
だそうです。

そのような時代に書かれた小説であると「解説」で読まなければ
今の時代と何ら違和感を感じないほど
ジェインは自分の意見をはっきり言い、
自分の力で生きていこうする女性で、
1847年にこの物語が書かれたことにも感動しています。

宝塚歌劇で「ベルばら」を直近で上演されたとき(2015年?)くらいに、
ネットで
「『ベルばら』はもういい。
 『女性が男性のフリをしなくても活躍できる時代』になってきた今となっては
 設定がもう古い。」
というような意見を読んだことがありました。

確かに、ベルばらが誕生した頃は
ベルばらのオスカルとか、りぼんの騎士のサファイアとか、
女性が男性のフリをしたり、男として育てられたりしないと活躍できなかったかも・・
ですが、
「ジェイン・エア」は、
女性が、女性として、自分の意志と信念を貫いて生きていく姿が描かれています。

「シンデレラストーリー」というよりも、
「決して美人ではない主人公が、自己の意志を貫き通し、
 最後に【自分なりの】幸せを手に入れる」
という「サクセスストーリー」は、今の時代にも共感できる物語だと
しみじみ思いました。


今回、
ミュージカル「ジェーン・エア」のことを
fanfan様つながりのお友達にお知らせしました。
(彼女が贔屓にしている宝塚OGが出演されているので)
(ちなみに彼女は無事にチケットをゲットされました!)

そして彼女も原作を読まれ、その感想をお知らせくださったのですが
彼女がいちばん心に一番残ったのはバーサとのこと。

「バーサが可哀そうすぎませんか?
 持参金目当ての男のもとに嫁ぎ、
 狂人と白痴のいる家系に生まれたからいずれはコイツもそうなるという目で見られ続け、
 当然夫に愛されることもなく、
 精神に変調をきたしてからは屋敷に閉じ込められ、
 異国の地に連れていかれてからはその存在さえも無いことにされるなんて。」

「何より悲しかったのは、あの本の中で1行たりともバーサを憐れむ文章がなかったことです。
 最初にジェインがソーンフィールドを去った時も
 『バーサに悪いから』という理由ではなく
 『神の教えに背くから』という理由でロチェスターのもとを去りましたよね?」

「ずっと隠された存在だった自分の姿を皆にさらすように屋根に上がり、
 最期に、愛する夫に「バーサ」と名前を呼んでもらって
 屋根から飛び降りた時のバーサの気持ちを考えたら切なくなりました。
 きっとバーサはロチェスターの「永遠」になりたかったんだろうなと思いました。」

「ロチェスターは「おれは騙された」ばっかり言うし、
 『バーサにだっていろいろあったんだよ!』という気持ちになってしまいました」


お友達の感想を聞かせていただいて、
確かに、バーサを憐れむ文章、
バーサにもいろいろあったのでは・・ということが書かれた文章はなかったです・・。

そもそも、バーサの「行動」を描く場面はありますが
バーサの心情を描いた場面はまったくありませんので、
私は「バーサの気持ち」「事情」にはまったく思い至らずで・・。
お友達の感想をお聞きして、なるほど・・と。

他の方の感想をお聞きするのも大変おもしろく思いました。
舞台を観られた感想をお聞きするのも楽しみにしております(^^)


<本日のトレーニング>

・ ジョグ 13キロ


2022-12-04 19:26  nice!(35) 

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