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読書メモ♪「星々の舟」 [本]

初めて読む作家さんでした。

「直木賞受賞作から(作家さんの)新規開拓シリーズ」で、
「星々の舟」(村山由佳さん)

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6つの話がおさめられた短編集。
主人公となる一家(=水島家)のうちの6人の視点から描かれた物語・・
・・・となっていますので、
「連作短編」と言えるでしょうか。

最近読みました「ホテルローヤル」、「昨夜のカレー、明日のパン」と
似た感じの設定というか展開というか・・という印象です。


感想を一言で申しますと、
「この作家さんの文章は読みやすく惹きこまれましたが、
 内容がちょっと重く、暗く、切なすぎました・・」


先ほど、
6つのお話が6人の視点から描かれた物語・・と申しましたが、
それぞれの物語の中心人物は、

① 次男
② 次女
③ 長女
④ 長男
⑤ 長男の娘
⑥ 父親

となっています。


父と母は再婚で、
長男と次男、長女はそれぞれ父と母の連れ子どうし、
次女だけが父と母の娘・・という設定でしたが、
実は、この夫婦は、
先妻の生前からの仲だった・・ということで、そこでまず「不倫」があり、
その結果、血のつながりはないと思いこみ、愛し合うようになっていた次男と長女は
実は母違いの兄妹だった・・ということで、「近親相姦」、
また長女は幼い頃に家に出入りしていた職人から「性的虐待」を受け、
高校生のときにも「性的暴行」を受けるという経験あり、
次女も「不倫」、
役所勤めで、マジメでカタブツと思われていた長男も「不倫」、
長男の娘は「イジメ」にあっており・・・。
父親は戦争を経験された方で、
最後の章では、父親の「戦地でのこと」、「従軍慰安婦」のことも出てきまして、
1つの家族の中で、
『こんなにもいろいろなことが起こるもの???』 と、
内容がちょっと重たく感じた上、描かかれた内容も盛りだくさんすぎて「おなかいっぱい」感?

個人的には、
(「不倫モノ」はあまり好きではないですが)
①~④までは、「小説」「物語」として深みのようなものを感じ、
重さはありましたけど惹きこまれて読み進めましたが、
⑤、⑥はちょっと重すぎたかなぁ・・という感じ。


父の(再婚相手の)母が亡くなるところから最初の章が始まり・・ですが
途中の章で、時間が遡って描かれたりしていますので
母のことも物語に出てきますから、
個人的には、「長男の娘」の章は重かったので、それのかわりに、
「母」目線の章と、
あと、長男の嫁の言い分も聞いてみたい感じがありましたので
(長男のところで少し出てきますが)
その2人の物語を作っていただきたかったような・・・。


最終章の父親目線の物語は、「戦争」「従軍慰安婦」のことがかなりの部分を占めていて、
そういう問題から目をそむけてはいけないとは思うんですけど
それまでの5つの内容とまたガラっと趣が違う感じでちょっと違和感。

・・・なのですが、
この最後の章を読んで、
それまでの章で描かれてきたお父さんの「言葉」「行動」「気持ち」が
種明かしのようにすべてしっくりと理解できた感じで、
短編すべてがバチっとつながったような印象。

⑤の物語の中で、父親が、長男の娘にかける言葉は心に沁みましたが、
それは、そのあと最終章を読んで、その言葉を発した背景みたいなのが分かり、
よりいっそう心に沁みました・・。

また、長女のことを思って・・のところで
「幸福とは呼べぬ幸せもあるのかもしれない」・・・は
この本の中で、いちばんグッサリきた言葉でした・・。

「傍から見たら幸せとは思えなくても、自分は幸せだと思っていることもあるかもしれない・・」
というような意味で言われている言葉でしたが、
それは私自身もなんとなく分かる気がします。


タイトルの「星々の舟」とは、
1つの舟に乗ってる星=家族・・ということなんでしょうか・・。


さきほど、
「1つの家族の中で、こんなにもいろいろなことが起こるもの???」
と書かせていただきましたが、
自分の家族も、私が知らないだけで(^^;
父、母、弟、弟の家族・・、
みんな何か秘密を抱えて生きているのかも・・・?


<本日のトレーニング>

・ ウォーキング 約7キロ

本日は、仕事で外出し、そのときもかなり歩き、
帰りも立ち寄るところがあって、その帰りもちょっと歩きました。

細切れ7キロ・・ですが、たくさん歩けました(^^)


2016-04-01 23:32  nice!(51)  コメント(4)  トラックバック(0) 

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コメント 4

裏・市長

おはよぉございます!。
いや、いくらなんでもここまで、ひとつの家族で
ネタ盛りだくさんなウチもなかろう…。
この中に混ぜられたら発狂するわっ!。

ボクも小さい頃、ある日、どっかヨソの家に
連れていかれて、そこの子ども2人と遊んでた記憶が
あったのだが、それが腹違いの姉、兄であったとは、
成長してから気づいたのであった(笑)。

今の世の中じゃ叩きまくられるような事柄も、
「昭和の男」なら「男の甲斐性」とか言われてた
時代があった…というが、やっぱり非常識すぎる。

「お前、なんで今それを言う?!」
「墓場まで持って行けよ!」と思うような事を
平気で言う。
お前はスッキリかも知れんが、
こっちは地獄に叩き落とされた気分じゃ!。

誰にでも小さな秘密やら嘘はあるやろうけど、
知らない方がいいことのほうが多いな。

せっかくのエイプリルフール。
結局、有効活用できんかった・・・。


by 裏・市長 (2016-04-02 08:58) 

トレンダー櫻井

こんにちは!(^^)!村山由佳の「星々の舟」ですか!私も何年か前に読んだことがあります!やはり村山由佳の作品でしたら「おいしいコーヒーの入れ方」シリーズが好きです(^^)v
by トレンダー櫻井 (2016-04-02 16:55) 

keroyon

★裏・市長さまへ
 そうなんです。短編集ですので、1つ1つのお話だけを見て
 いましたらそうでも・・なのですが、1冊の本になりますと
 すごい盛りだくさんな内容でした。
 
 >「お前、なんで今それを言う?!」
 >「墓場まで持って行けよ!」と思うような事を平気で言う。
 >お前はスッキリかも知れんが、
 そうなんです・・。
 「そういうことは聞きたくなかった」・・ということ、あります・・。
 
 エイプリルフール。
 裏・市長さまの記事を拝見し、大笑いさせていただきました(^^)
 お天気のえりさん、そんなことをおっしゃったんですね!!
 見れるときは見てるんですが、昨日は見れませんでした。
 ザンネ~~ン!!
by keroyon (2016-04-02 19:44) 

keroyon

★トレンダー櫻井さまへ
 コメントありがとうございます!!
 村山由佳さんは初めて読みました。
 以前から、「読んでみたい本リスト」に書いていたのですが
 トレンダー櫻井さまの少し前の記事で、村山由佳さんの本を
 2冊紹介されていたのを拝見し、ぜひ読んでみたくなり、
 図書館に予約しまして(^^)
 なので、トレンダー櫻井さまからコメントをいただき感激です(^^)
 この作品、内容はちょっと重い印象ですが、この方の文章、
 作品は好きになりました。
 「おいしいコーヒーの・・・」シリーズ、ぜひ読んでみたいです。
 ありがとうございました!
by keroyon (2016-04-02 19:49) 

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