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読書メモ♪「アルジャーノンに花束を」 [本]

この本のタイトルは、中学生の頃から知ってはいました。
でも、その頃、
「(この本は)このジャンル」と知った内容から、
なんとなく「食わず嫌い」で、これまで読む機会がなく・・で。

今年の4~6月期にドラマが放送されていて
E子ちゃんは「見る」と言っていましたが、
ワタクシ、第一話を録画しそびれまして、
『他にもドラマをいくつか見てるから、ハードがいっぱいになるし、もういいか~』
と思っておりましたところ、
終了後、E子ちゃんがブルーレイに入れたのを貸してくれました(^^)

で、その後、原作本も貸してくれまして(^^)

「アルジャーノンに花束を」(ダニエル・キイス)

001.JPG

なんで、「食わず嫌い」だったのか思い出しましたが・・・。

中学生の頃、大好きで何度も読んでいた本がありました。

その本の中で、主人公の女の子(=私立女子中学生)が、
女子高女子中合同の文化祭を見にきた男子高生に一方的に見初められ、
初デート・・ということになり、
そういうことにあまりにも不慣れな主人公を心配したお友達がいろいろアドバイスを。

着ていく服・・とか、
「どこに行きたい?」と訊かれたら、こう答えなさい・・とか、
こういう話をするのが無難・・とか。

で、その彼女、本の趣味はちょっと古風な感じだったので、
「もしも愛読書の話」になったら、
本当のことは言わず、
「せめて『赤毛のアン』くらいにしときなさい。
 できれば『○○』とか『○○○』とか、SF系統がいい。」
「読んだことないわよ、そんなの。
 SFって言ったら『アルジャーノンに花束を』くらいしか読んでないもん。」

・・という場面がありまして。

で、ワタクシ、
「アルジャーノンに花束を」ってSFなのね・・と。

SFはキライ・・というわけではないですけど、
好んでは読まなかったので、読む機会のないまま過ごしており、
タイトルを知ってからだいぶ経ちまして、今回ようやく。


感想を一言で申しますと、
「切ないお話でした(;;)」


先日、レポを書かせていただきました「64」と逆で、
先にドラマを見ましたから、
だいたいどんな内容か分かって読みましたので、
『この先どうなるんやろう(ドキドキ)』感は少し薄れてしまいましたが、
ある意味、内容はすごく理解しやすかったです。


ご存じ、このお話は、
知的障害の男性チャーリイが、
「知能を回復させる手術」を受けて劇的に回復し、
数カ月ですぐれた頭脳の持ち主になりましたが、
その治療法には欠陥があり、知能のピークを迎えたあとは退行して、
元の知的障害者に戻ってしまう・・という内容です。

この治療(手術)は、ビークマン大学で行われいる「研究」の1つで
先に、アルジャーノンと名付けられたネズミの実験で成功し、
チャーリイは、人間に対する被験者第一号に選ばれた・・という設定。

この研究・治療の経過を追っていくため、
チャーリイは「経過報告」を書くように教授たちから指示されており、
この物語は、
「チャーリイの経過報告」という、「日記」のような形式で書かれています。

なので、最初のほうは、平仮名だらけで、
「僕は」も「ぼくわ」になっているような感じの文章、
それがだんだんしっかりした内容になっていき、
最後にはまた、平仮名ばかりの文章に・・という感じで進みます。


先ほど、「感想を一言で」で、
「切ない」と書かせていただきましたが、
「何が幸せか」ということもすごく考えさせられたかな・・と。

チャーリイは、もともと、
「あたまがよくなりたい」
「あたまがよくなって、まわりのともだちから好かれたい」
と願っていた純粋な心の持ち主でしたが、
知能が回復するにつれて、
「自分はこれまで、周りからバカにされて、いじめられていたこと」、
「(自分の知能の低さが原因で)母に捨てられたこと、
 妹からも蔑まれていたこと、父と母がモメていたこと」など、
知りたくなかったことを知るようになったり、
「あたまがよくなって、周りの人と仲良くなりたい」と思っていたのに
自分の知能が高くなりすぎたために、周りの人を見下してしまうようになったりし、
その結果、周りの人から疎ましがられるように・・。

頭がよいことや地位や名誉があることと、
自分が幸せを感じて生きていくこととはまた違うんやな・・と。


手術の結果、高い知能を手に入れたチャーリイは、大学での研究に加わりますが、
自分より先に手術を受けたアルジャーノンに異変が起こり、
だんだん凶暴になったり、
これまでこなせていた課題をクリアできなくなっていって、
やがて、死んでしまう・・という事態に直面。
チャーリイは自分で調査・研究をして、
自分にもこの先、同じことが起こるという、この研究の欠陥を突き止めてしまいます。

だんだん、知的・身体的能力が失われていく過程の「経過報告」の内容は
本当に切なかったです・・(;;)


そんなわけで、この物語は、
「知的障害の男性が手術を受けて短期間で天才になり、
 その後、短期間のうちに退行し、もとの知的障害に戻ってしまう」
という、ちょっと極端な設定のようですが、
読んでいて、
もっとゆるやかな時間の中ではあるけれど、人間誰しも起こる「変化」やよね・・と思いまして・・。

知能も体力も、ある一定時期までは成長しますけど、
ピークを迎えたあとは、だんだん衰えていきますもんね・・。

私は今、47歳、
いわゆる「平均寿命」と言われている年齢の半分はもう過ぎています。

今はまだ、
(自覚がないだけかも・・ですが(^^; )まだそこまで『記憶力が衰えたな・・』
という実感はなく、
趣味のマラソンでも、
『自己ベストタイム更新を目指して』がんばろう!と思ってやっておりますが、
いつか、今のタイムで走れなくなる日がくるでしょうし、
今やってる練習がキツくてできなくなる日がくるんでしょう・・。

オートバイに乗っていた頃も思ったことがあります。
身体能力の衰えの自覚から、乗るのをやめようと思う日がくるのかな・・って。
(結局、それを感じるより前に手放しましたが・・)

「これまで出来ていたことが出来なくなった」と思うことが、
きっとこれから、年を重ねるごとに
いろいろ出てくるんやろな・・と思います。

この本の後半の「経過報告」のチャーリイは
自分がこの先どうなるか分かっていて、
だんだん「できなくなってる」ことを自覚しながらも、
少しでも食い止めようとがんばっている場面は泣けました・・・(;;)

いつか、
自分が、『これまでできてたのに出来なくなった・・』とかいうようなことを実感して
元気がなくなってしまいそうなときにまた読みたいな・・と思った本でした。


そう、この作品は、「SF」なんでしょうか・・。
こういう感じのも「SF」なら、ちょっと印象が変わりました(^^)


ドラマもすごくよかったです。
本とは少し設定が違いましたが、大筋はだいたい同じかなと。

主役の山下クンが、とても上手く演じ分けされていて、すごいな~と。


栗山千秋さんは、ワタクシ、ドラマで見たのは初めてだったんですが
(そのあと、7月からのクールの「HEAT」でも拝見しました♪)
綺麗な人ですねぇ・・・。

目じりがきゅっと上がっていて、
前髪をキリっと切りそろえた、ストレートの髪型もお似合いでしたので、
宝塚歌劇「王家に捧ぐ歌」の、
エジプトのファラオの娘、アムネリス様、
舞台メイクしなくても、そのままできそうなお顔をされてるな~♪ と思いながら
拝見していました(^^)

石丸幹二さん、窪田正孝さん、工藤阿須加さんなど、
最近のドラマでいいなと思っていた俳優さんが出ていたのもうれしかったです(^^)


<本日のトレーニング>

オフ

整骨院にてメンテナンス。

少し前まで感じていた「疲れ」はだいぶとれてきたように思います。
院長(=後輩)にも、「先週よりも元気そうな顔されてます」と言っていただきホっ(^^)


2015-11-10 22:51  nice!(66)  コメント(8)  トラックバック(0) 

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コメント 8

ハリネズミ

昨日に引き続きこれもまた、タイトルだけを知っておりました^^;。
keroyonさんと同じく、私も内容のイメージが先行しての
食わず嫌い状態。
でもkeroyonさんのレポを読んでみたら、
思ってたのとはちょっと違う感じで興味を持ちました^^。
「なにか」を得れば「なにか」を失い、
「なにか」を失えば「なにか」を得る・・・・そんなふうに考えつつ
老いを受け止めたいと思ってるこのごろ、読んでみたいかも。
by ハリネズミ (2015-11-11 08:01) 

kinkacho

keroyonさん、ご無沙汰してます。
今更ですが、丹後ウルトラお疲れ様でした。

kinkachoはSF読みだったので、中学ぐらいでこの本は読んでます。
主人公の経過が切ないとは思いましたが、人生と重ねることはなかったですね。
ちょっと読み返してみます。

大阪マラソンが終わったので、次は宝塚ハーフ、冬に姫路城です。頑張ります。
by kinkacho (2015-11-11 09:15) 

ポッポ

もう20年近く前でしょうか? ユースケ・サンタマリアが主役でドラマ化されてましたね。私は、彼の顔・喋り方がキライなのでドラマを見ず、ストーリーについては「あの役がユースケ・サンタマリアだなんてありえない」という友人の話から主人公は天才らしい...と想像しただけでした。
そういうお話だったんですか!私も食わず嫌いの部類です。
工藤阿須加さん、「偽装の夫婦」に出演されてますよ~。「ルーズヴェルト・ゲーム」で初めて見たときよりも演技が上手になっています!
by ポッポ (2015-11-11 13:41) 

liang

今ごろなぜドラマ化?そして山P?と不思議に思いつつ
まったく観てませんでしたが悪くなかったんですね。
栗山千明さん、私も好きです。凛々しい女子が好きなので
天海祐希さんも好き。「偽装の夫婦」も楽しく観ています(*^_^*)
by liang (2015-11-11 16:38) 

裏・市長

ユースケ・サンタマリアさん版見たわ~。
今回のドラマ化にあわせての再放送だったのだろうけど、
昔々の子ども番組に「スペクトルマン」というのがあって、
これをまんま原作にしてしまったものがあった。

出前持ちの三吉くん(ヌケ作)が、脳手術を受け
天才化するのだが、徐々に怪獣化してゆく。
夜な夜な冷蔵庫の生肉を食らっているのだが、
我慢できずについに人間を襲い始めた。

天才の三吉くんは独自の研究の末、
自分の怪獣化はもうとめられないと判断。
スペクトルマンに殺してくれと懇願。
スペクトルマンは「…スマン!」と謝りながら
まっぷたつにする…。

人間、あんまり賢くなりすぎても不幸なのかも知れない。
ほどほどがいいのかも知れない。
by 裏・市長 (2015-11-11 17:58) 

U3

 SFとは日本語に訳せば空想科学もしくは現実ではない科学ですから色々な解釈がある訳ですね。何も空想未来小説である必要はない。結構文学的で人々の心を打つものも多いですよ。村上春樹の「1Q84」だって二つの月が出て来たり、卵から人が生まれたり、パラレルワールドがあったり昔の解釈で云えばまるっきりSFですよ。
 先入観を持つ事が一番いけない気がしますね。
by U3 (2015-11-11 20:02) 

majyo

これは、舞台が先で、その後本を読みました。
身近に似たような人がいましたから
心が重かったです。
でも、世の中にはいっぱいこのような人がいます。
それを知って欲しいですね。

by majyo (2015-11-11 20:12) 

keroyon

みなさま、ご訪問・コメント・niceをありがとうございました!

★ハリネズミさまへ
 この本、タイトルは知られてるみたいですよね~。
 SFということで、食わず嫌い状態でした・・。
 SFって、「宇宙」関係のお話か・・と思っておりましたけど
 「科学」ということなので、宇宙モノとは限らないんですよね(^^;
 >「なにか」を得れば「なにか」を失い、
 >「なにか」を失えば「なにか」を得る
 本当、そうかもしれません・・。
 「走る」ことにしても、「体力」面では厳しくなってきますけど
 「経験」面は培われていきますので、そのあたりで改善していけたり
 楽しめたりする気がします(^^)

★kinkachoさまへ
 こんばんは。
 こちらこそご無沙汰しておりますm(_ _)m
 丹後ウルトラ、初参加でした(^^) ありがとうございます。

 kinkachoさまは読書量が豊富でいらっしゃいますから、中学生くらい
 にはすでに、かなりいろいろな本を読んでおられたんでしょうね!
 SFってどうも「宇宙モノ」というイメージが(^^;
 「科学」ですからそうとは限りませんのに・・(^^;
 「主人公の経過を人生と重ねる」のは、ちょっと大げさだったかも・・
 なのですが、読んでいてふとそんなふうに思いました・・。

 大阪マラソン、走られてたんですね!
 私はカエルで応援でした。37キロ地点はたぶんお見かけしてたはず・・。
 宝塚ハーフ、私もやっぱりエントリーしました(^^;
 寒い時期ですが、お互いがんばりましょう~~(^^)

★ポッポさまへ
 この小説、だいぶ前に発表されたものですから、やはり、ドラマも
 以前にもあったんですね!
 20年前ですか~。私、その頃は、ドラマをほとんど見てなかった
 ので、全然知りませんでした。
 ユースケ・サンタマリア氏ですか・・。やはりイメージはちょっと
 違うような(^^;
 私、「SF」のイメージを勘違いしていたところがありました。
 切ない内容でしたが、すごくよかったです。
 工藤阿須加さん、「ルーズヴェルト・ゲーム」のときに
 「いい面構えやな~」と思って注目するように(^^)
 「偽装の夫婦」にも出てらっしゃるんですね!
 まだ見ていませんが録画はしていますので楽しみです。
 7月クールの「HEAT」も出ておられました。引っ張りだこですね!

★liangさまへ
 そうですよね・・。「アルジャーノンに・・」はだいぶ前の作品ですし
 なんで今頃ドラマ??ですよね。
 でも山下クンはよかったですよ~。
 天海祐希さん、いつもカッコいいですよね~。
 「偽装の夫婦」、まだ見ていませんが楽しみです(^^)
 沢村さんも好きですので(^^)

★裏・市長さまへ
 ユースケ・サンタマリアさん版、最近再放送されていたのですね。
 以前やっていたことも知りませんでしたので、再放送の情報も
 目に留まらず・・でした・・。
 
 >人間、あんまり賢くなりすぎても不幸なのかも知れない。
 >ほどほどがいいのかも知れない。
 原作を読みまして、そのように思いました・・。
 「あたまがよくなったら、もっと友達ができる、もっとみんなと
 理解しあえると思っていたのに、どうして今、こんなに孤独
 なんだろう」みたいな場面があり、ものすごく切なかったです(;;)

★U3さまへ
 そうなんです・・。
 「SF」という言葉の中学生の頃の印象は、まさに、「 空想未来小説」
 で、そんなふうに勘違いしたまま過ごしてきました。
 「空想科学もしくは現実ではない科学」ということなんですよね。
 おっしゃるとおり、「先入観」を持っておりました・・。
 これまであまり読んだことがなかったジャンルがすごくよかったり・・
 ということはこれまでもありましたので、これからも、先入観を
 持たずに機会を増やしていこうと思いました(^^)

★majyoさまへ
 舞台もあったのですね!
 私はドラマを見まして、こういう感じの内容はいいんやろか・・と
 ちょっと思いましたが、majyoさまがおっしゃるように、「知る機会」
 でもありますね・・。
 自分の考えはまだまだです・・・。
by keroyon (2015-11-11 23:47) 

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